2016年4月22日 (金) 掲載

◎遺愛女子高、英語のもてなし10年目

 ホーランド・アメリカ・ライン(米国、HAL)の豪華客船「フォーレンダム」(6万1214トン)が21日、函館に寄港した。遺愛女子高校生徒による外国客船寄港時の案内活動が10年目となった。JR函館駅前でシャトルバスを降り立った乗客を笑顔で出迎えたほか、函館朝市ひろばでは、文化体験コーナーを開設した。

 同校の活動は同じHAL社の「スタテンダム」(当時)が初寄港した2007年5月に始まった。外国人と英語で直接コミュニケーションを図る貴重な機会として、年数回の活動に英語科の生徒を中心に参加。昨年5月の「フォーレンダム」寄港時には、サクラが舞う校内を特別に案内するなど、長年の取り組みが高く評価され、昨年度の観光庁長官表彰受賞に結び付いた。3年生の佐々木綾香さん(17)は1年時と比較して自身の成長を実感しているとし、「遺愛のいい伝統になっています」と話す。

 駅前では同科の2、3年生約65人が活動。乗客の案内だけではなく、手描きのイラスト入りの地図や折り鶴などを手渡して喜ばれていた。朝市ひろばでは書道部、茶道部、イラスト部の生徒が体験コーナーを開設し、乗客や乗員をもてなした。

 2年生の山本朱里(あかり)さん(16)は「分からないところもあるけれど、海外の人とジェスチャーを交えながらおしゃべりできるのが楽しい」とし、田辺沙莉咲(さりさ)さん(16)は「自分から話しかけて、案内できたときに達成感があります」と話していた。

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 同船寄港は通算6回目。乗客約1300人と乗員約600人を乗せ、午前8時すぎに港町埠頭に接岸し、夕方、釧路に向かった。カナダ・バンクーバー在住の公務員山口哲也さん(48)は家族3人で自宅に戻るために横浜から乗船。「戦時中、カナダでも日本人が苦労した歴史がある。移民を乗せて横浜から太平洋を渡った『氷川丸』を思う旅にしたい」と話していた。

 船内での歓迎セレモニーでは、函館港湾振興会の兵頭法史会長が「4年連続のこの時期の寄港で、フォーレンダムは函館に春の訪れを感じさせてくれている」と歓迎。バイエンス船長は「私にとっても4回目の寄港で、高校生のもてなしにも感謝している。今後も何度も函館を訪れたいと願っている」と述べた。(今井正一)  



◎函館と弘前の絆「巴桜」の味生む

 函館の農家が生産した酒造好適米「吟風」を使い、青森県弘前市の六花酒造が仕込んだ純米大吟醸原酒「巴桜(ともえざくら)」のお披露目会が21日、函館市湯川町の割烹旅館若松で開かれた。工藤寿樹、葛西憲之両市長をはじめとする関係者が出席。桜花舞う季節に誕生した両市の友好が生んだ新しい日本酒で祝杯を挙げた。

 両市長のほか、北村裕志社長、酒米生産者の立蔵義春さんらが出席。2013年12月に弘前の関係者が来函した際に、工藤市長と北村社長が酒造りを進めることで合意。立蔵さんが昨年初めて「吟風」を作付けした。同社は収穫された米と白神山系の伏流水、青森県で開発した「青森県まほろば吟酵母」を用いて酒を仕込み、3月28日に初搾りを行った。

 お披露目会で工藤市長は「国内外の物産展に持ち込めるお酒ができた。函館の巴と日本一の弘前の桜を合わせた名前もいい」と喜んだ。葛西市長も「両市友好の象徴として末永く愛されるようにしていきたい」と述べた。初めて巴桜を口にした工藤市長は「まろやかで飲みやすい。女性にも人気になるのではないか」とした。

 立蔵さんは「吟風の生産は初めてのことで心配ごとばかりだったが、おいしいお酒になって安心した」と話した。北村社長は「函館を訪れる外国人観光客にも期待している。主力商品にしていきたい」と話していた。

 今年の販売量は、4合瓶(720ミリリットル)で1300本程度。6月1日に市内や青森県内での販売を予定し、価格は3000円程度となる見通し。(今井正一)



◎田家に複合商業施設

 大和ハウスグループの大和リース(大阪)は、函館市田家町16のガソリンスタンド跡地に複合商業施設を建設する。25日に着工、早ければ7月下旬にも開業し、サッポロドラッグストアー(札幌)など4つのテナントが入居する予定だ。周辺には他の大手薬局チェーンも店舗を構えており、同町がドラッグストアの激戦区になるのは必至の様相だ。

 大和リースは全国で140以上の商業施設を開発、運営しており、道南では「フレスポ函館戸倉」「フレスポ北斗」などを手掛けている。

 建設予定地は、建築資材卸の三田商店(岩手県盛岡市)が昨年8月まで運営していた田家給油所の跡地と同社所有地。敷地面積は約6100平方メートルで、同10月に土地の賃貸契約を結んだ。

 敷地内に鉄骨平屋の建物を2棟建設する計画で、駐車場は110台分用意する。延べ床面積約1400平方メートルの建物に、サッポロドラッグストアーが入居。約500平方メートルの棟では、眼鏡店と美容室などが営業する予定だ。   隣接地の白鳥町には、ツルハドラッグやラルズマート、ツタヤなどが集積する複合商業施設「コンフォモール函館白鳥」があり、大和リースの担当者は「相乗効果で集客が見込める」としている。

 周辺では、道内に「サンドラッグ」を約50店展開するサンドラッグプラス(札幌)が昨年9月に「田家店」を開業したばかりで、大手チェーン店が一堂に店を構える田家町では、客の奪い合いが予想される。

 サッポロドラッグストアーは、昨年から函館空港やベイエリアに相次いで新店を開店しており、出店攻勢が続く。新店を構える商業施設から約500メートル離れた場所には既存の「田家店」もあるが、同社は「新店舗ではスケールメリットを生かし、食料品などの品ぞろえを強化したい」としている。(山田大輔)


◎五稜郭タワー展望台 窓ガラス清掃

 春の大型連休を前に、五稜郭タワー(函館市五稜郭町、中野恒社長)は21日、展望台の窓ガラス清掃を実施した。地上90メートルの高さで窓を拭き上げる作業員の姿に、居合わせた観光客らは目を見張っていた。作業は22日も行う。

 窓ガラスの清掃は行楽シーズンに合わせて年3回実施。3人の作業員が屋上から吊るした可動式ゴンドラに乗り、雑巾やワイパーを使って計315枚の窓ガラスを丁寧に磨き上げている。

 大阪府堺市から訪れた山田美恵さん(67)は「見ているだけで怖くなる。平然と作業している姿がすごい」と驚いた様子。同社は「これから開花を迎える五稜郭公園のサクラなどの景色を、汚れの無いガラスで見ていただきたい」としている。(金子真人)