2016年4月23日 (土) 掲載

◎はしご酒、音色にほろ酔い 西部地区で「バル街」

 スペインの伝統的な飲食文化「バル」を函館市内の西部地区で展開する「函館西部地区バル街」(実行委主催)が22日、同地区で開かれた。友人や同僚のグループ客らが参加飲食店を巡り、料理や酒を楽しんだ。

 飲食店で特別に用意したピンチョス(つまみ)と酒をはしごする食のイベントで、今回で25回目。市内や青森、弘前市などから74団体が出店した。

 金森ホールでは、北海道新幹線開業を記念した「津軽海峡圏交流ライブ」と称したイベントが催され、青森県内のシェフグループや木古内町のレストラン「どうなんデス」など5店が出店。ビッグバンドの演奏や青森県のご当地アイドルグループのライブが繰り広げられた。

 オープニングセレモニーでは実行委の深谷宏治代表が「新幹線開業を機に、函館発祥のバル街のスピリッツが全国に広がってほしい」とあいさつした。

 道南・青森県の女性でつくるまちおこしグループ「津軽海峡マグロ女子会」として初めて出店した五所川原市津軽鉄道のコミュニティーカフェ「でる・そーれ」は、「青森シャモロックととまとシチュー」などを提供。理事の辻悦子さん(52)は「津軽とは違った華やかさを感じます。自分も楽しみたい」と笑顔。

 同じく初出店した江差町の皐月蔵チャミセ代表の室谷元男さん(62)は「江差町のPRにつなげていきたい」と話した。

 アクロス十字街では、生ハムやワインなどの振る舞いサービスが行われ、長い行列ができる盛況ぶり。会社の同僚2人とともに初参加した後藤拓也さん(27)は「いろいろな店のおいしい料理を食べることができて楽しい」と満喫していた。(鈴木 潤)



◎松前のソメイヨシノ開花、道内最速

 【松前】町は22日、松前城前にある標準木のソメイヨシノが開花したと発表した。日本列島を北上していた桜前線がついに北海道に上陸し、いよいよ花見観光シーズンに突入する。松前町のソメイヨシノの見ごろは25日から5月2日まで。

 日本気象協会によると、道内の観測地点で開花が確認されたのは同町が初めて。同町では1982年から独自で開花記録をつけており、今回は平年より8日早く昨年より3日遅いが、5番目に早い開花という。

 この日午後2時半、町の担当職員が標準木に5輪以上の花が咲いていることを確認し、開花を宣言した。埼玉県からバスツアーで訪れた白石洋二さん(67)と由紀子さん(同)夫婦は「咲いていると思っていなかったので驚いた。きれいですね」とにっこり。

 松前公園には250品種、約1万本のサクラがあり、早咲き、中咲き、遅咲きと順次開花して5月下旬まで満開のサクラを楽しめる。29日~5月20日には町を代表するイベント「さくらまつり」が開かれる。(斎藤彩伽)



◎五稜郭ガーデン開業半年 テナント埋まらず苦戦続く

 まちづくり五稜郭(久保一夫社長)が運営する函館市本町9のグルメコート「五稜郭ガーデン」が、23日で開業半年を迎えた。最大18店が入居可能なスペースで営業する店舗は5店にとどまり、テナント誘致は苦戦が続く。同社は1店に限り、開店に必要な初期費用などを負担してテナントを呼び込むなど打開策を講じているが、にぎわい創出は道半ばだ。

 五稜郭ガーデンは昨年10月23日、地中海料理店1店のみで開業。その後、たこ焼き店やハワイ料理店、ケーブルテレビ局NCVのサテライトスタジオなどがオープンしたが、「年内に全区画を埋めたい」(同社)としていた1階部分は、今も空白のスペースが残る。

 開業後、同社は札幌の業者にテナント誘致業務を委託。家賃の8カ月分としていた出店費用を5カ月分まで値下げしたが、22日時点で出店交渉中の企業は3社のみだ。

 久保社長は「ここまで苦戦するのは想定外。テナントが入らず、ネガティブな情報が出回ってしまったのも影響した」と苦悩をにじませる。

 苦肉の策として打ち出したのが「レンタルガーデン」。同社が開店前の経費やテナント料、保証料を負担し、出店を促す戦略で、すでにジンギスカンなどを提供する地元飲食店の出店が決まり、5月上旬に開店する予定だという。

 レンタルガーデンは、一定期間経過後に改めて契約を結び、出店者が同社負担分の初期費用などを支払う仕組み。同社は回収した費用を運用して次々とテナント誘致を進めたい考えだが、出店者が期間内に軌道に乗らず撤退した場合は、負担分の経費を回収できないリスクもはらむ。久保社長は「運営者側も覚悟を持って臨むということ」と話す。

 また、同社はこれまでほぼ月1回開いてきた「ヒトハコ市」などの催事の回数を増やし、同施設への集客を図るため、イベントの運営を専門業者に委託する考えだ。久保社長は「現在の常駐スタッフは2人でマンパワー不足。イベントが呼び水となって人が集まれば、既存店の売り上げ増加と新規出店の促進につながるはず」としている。(山田大輔)


◎元町ホテル、ホテル函館山を買収 26日営業再開

 函館元町ホテル(大町4、遠藤浩司社長)は、1月末から営業を停止しているホテル函館山(元町19)の土地と建物を取得し、26日から営業を再開する。北海道新幹線の利用客や、好調に推移する外国人観光客の宿泊需要を取り込む構えだ。

 ホテル函館山は鉄筋コンクリート造5階建て、延べ床面積約3000平方メートル。和洋室39室ほか宴会場や結婚式場などを備える。開業から約40年経過しており、前経営者が後継者不足のため営業を停止して売却先を探していたところ、同じ函館山麓にある元町ホテルとの相乗効果が見込めることから買収を決めた。

 2009年には約7000万円を掛けて客室のリフォームを行うなど定期的に改修を続けており、「建物がきれいで大規模な改修が必要なかったことも好材料だった」と遠藤社長。現在、寝具の交換、Wi―Fi(ワイファイ、公衆無線LAN)対応や空調設備の工事など、オープンに向けた準備を進めている。

 遠藤社長は「函館アリーナの開業やインバウンドの増加などで昨年から稼働率が伸びている。新幹線の効果も期待できることから投資に踏み切った」と話している。(金子真人)