2016年4月29日 (金) 掲載

◎フルマラソン終盤のエイド 夕張メロン用意

 6月26日の「2016函館マラソン」(実行委など主催)で注目の一つが、ランナーが水分や食べ物を補給できるエイドステーションだ。北海道新幹線開業を記念する同大会では、地域の特産品などを用いたさまざまなメニューが各エイドで用意される。その中で、青果卸の中川青果(西桔梗町589、中川隆司社長)は、フルマラソンのエイドで旬の夕張メロンを提供。6月で創業100年を迎え、「100年分の地域への感謝」をお届けする。

 フル14キロ地点の第3エイドと、ハーフ・フル共用の第7エイドでバナナとミニトマトを提供。メロンはフル終盤、36キロ地点の第10エイド(緑の島)に並ぶ。

 中川社長自身、国内のさまざまなマラソンに参加しており、当日はフルで出走。創業100年を機に、地域への恩返しとしてエイド協力を決めた。

 はじめは地元産のイチゴを想定していたが、6月は収穫終了期のため断念。しかし、「夕張メロンのハウス栽培のピークが6月末ごろから」(中川社長)とのことから、赤肉の高級メロンである夕張メロンを提案。実行事務局は「より高価なものを提供してくれるとは思わず、中川社長の懐の深さに大変感激した」という。

 27日には、提供の仕方について実行委事務局と協議。夕張メロンは果肉が柔らかくなりやすいため、青い状態で取り寄せて前日のうちにカット、手が汚れないよう一口大にしたものを紙コップに入れて手渡すことにした。ただ、カットの方法で「走りながら食べるには長すぎる」「小さすぎてはコップから出てこない」などと意見を交わし、実際に切って確かめながら、1玉を32分割することで考えをまとめた。

 中川社長によるとエイドでメロンが出されるのは大変珍しいといい、函館大会ならではのセールスポイントになりそうだ。中川社長は「人口減少が進む函館を発展させるため、マラソンを活性化の起爆剤にしたい」と期待を込める。(蝦名達也)



◎観光アプリ続々、市は「函館NAVI」、昭文社は訪日客向け

 函館市は、スマートフォン(スマホ)向けの無料情報アプリ「函館NAVI(なび)」を公開した。ルート検索では、端末のGPS(衛星利用測位システム)機能と連動し、現在地から目的地までの移動手段として、市内を中心とした路線バスと市電、徒歩を組み合わせた複数の候補から所用時間や料金を検索できる。

 JR函館駅と五稜郭タワーに2013年に設置した大型情報端末「函館インフォメーション」のシステムをスマホやタブレット端末向けに再構築。開発事業費は昨年度予算で390万円を充てた。

 ルート検索機能は、バス事業者や市電のダイヤ情報を基に構築。地図上に主だったスポットやバス停の位置から出発地、目的地を選択できるほか、任意の場所を指定して、経路や所用時間、移動手段を調べることもできる。

 施設情報などは、市の公式観光情報サイト「はこぶら」とも連動し、取得できるようにした。災害時対応として、避難所位置などを表示するハザードマップとしての利用も可能だ。青森市版のアプリをダウンロードした端末では、「青函連携」を選択すると表示を切り替えることもできる。市経済部中心市街地再生担当は「観光客だけではなく、市民にも利用してもらいたい」としている。

 一方、地図やガイドブックを発行する「昭文社」(東京都千代田区)は、訪日外国人観光客向けの無料アプリ「DiGJAPAN!(ディグジャパン)」に函館地区の情報を追加した。

 訪日前の事前情報収集や、来日後の観光に役立つコンテンツをまとめたアプリで、英語、韓国語、中国語(繁体字、簡体字)、タイ語に対応し、国内31エリアの情報を掲載。特にタイや台湾で人気がある各国別の「フェイスブック」ページ、総合的なホームページとも連動し、それぞれの国民の趣向やニーズをとらえた最新情報を発信している。

 同社の広報担当は「訪日客向けというのが第一義だが、今後も掲載エリアを拡大していくので、国内旅行をする際にも役立ててほしい」としている。(今井正一)



◎田辺三重松展始まる

 函館出身の画家田辺三重松(1897-1971)が残したスケッチなど15点を展示販売する「田辺三重松素描展」が28日、棒二森屋本館7階特選サロンで始まった。展示作品のうち、従軍画家時代に描いたと思われるスケッチが一般に公開されるのは初めてだという。5月3日まで。

 田辺は函館で生まれ、函館商業学校(現函館商業高)を卒業。家業の呉服店を継ぎながら絵の制作も続け、1921年の赤光社の設立に参加した。太平洋戦争中の43年には軍の報道部員として北千島に赴いた経験がある。

 スケッチはこの従軍画家時代のものとみられる。軍服姿でほほ笑む男性や「従軍画家能勢氏」とメモ書きされ、田辺と同時期に活躍し、従軍画家の経験もある北海道を代表する画家の能勢眞美と思われる人物が鉛筆を走らせる姿が描かれている。

 作品を所有するギャラリーアンアート(千葉県)の松本琢巳代表は「スケッチは『画家の魂』といわれるが、油彩画ではなくスケッチだけで才能にあふれた画家だったことが分かる。田辺三重松という人物を考える一助にもなれば」と話す。同社が田辺のスケッチ作品を手に入れてから、一般に公開するのは初めてだという。

 展示作品は単色のスケッチ(20・9センチ×29・7センチ)が12万9600円、色が塗られたスケッチが19万4400円で販売している。また、会場では「有名作家版画展」を併催。篠田桃紅さんや東郷青児ら有名作家の作品が展示販売されている。

 午前10時~午後7時(最終日は同4時)。(大谷健人)


◎きょうからGW 観光、飲食関係者「開業ブーム到来に期待」

 3月26日の北海道新幹線開業後、初めての大型連休が29日に始まる。函館市内の観光施設の関係者は、期間中の天候に気をもみながらも入込数の増加に期待を寄せている。飲食店では好機を逃すまいと人員を増やし、万全の態勢で観光客を迎える考えだ。

 五稜郭タワーの1~27日の搭乗者数は、前年同期比24%増の5万5142人。24日のサクラの開花以降、急激に人数が伸びたという。営業部の横山傑アシスタントマネージャーは「特に個人客が好調。昨年の連休後半はサクラが散って利用客が落ち込んだが、今年は開業効果で堅調に推移するのでは」とみており、5月1~8日の入込数は同55%増の6万5000人を見込む。

 昨年度、過去最多の182万人が利用した函館山ロープウェイ。4月1~27日の入込数は、同13%増の12万6070人と好調を維持している。水口貴博営業企画室長は「新幹線効果で本州からの動きがいい。ただ、天候に大きく左右されるので、連休期間中は好天が続くことを願っている」とする。

 飲食関係者も開業ブームの到来に期待を膨らませる。函館朝市協同組合連合会の井上敏廣理事長は「これまでは開業効果を実感できなかったが、連休中は間違いなく客数が伸びる」と話し、経営する「恵比寿屋食堂」では期間中、アルバイト従業員を3人増員して需要増に備えるという。

 松風町の大門横丁や開業日にオープンした期間限定の「ブラックニッカ フリージングハイボールバー函館」を運営する大門・駅前地区のまちづくり会社「はこだてティーエムオー」の担当者は「多くの人が訪れる大型連休以降も、大門地区に足を運んでもらえるような情報の発信や魅力あるイベント開催などの取り組みが重要だ」と気を引き締めている。(山田大輔、金子真人)