2016年4月6日 (水) 掲載

◎函大のプロジェクト、函館スイーツの可能性探る

 函館大学の「アジアマーケティング研修会」は、函館スイーツの海外展開の可能性を探る調査研究を進めている。函館スイーツの率直な印象や反応を調査しようと、3月上旬に香港を訪問。香港大学の学生への試食アンケートや地元企業の取材を行い、商機はあると受け止めた。今後、調査結果をまとめ5月にも発表する予定だ。

 同研修会はゼミやクラブ活動とは異なる、大学肝いりのプロジェクトとして昨年12月発足。角田美知江専任講師を顧問に選抜された3、4年生6人で活動する。香港を訪問する前には、海外に事業を展開している札幌や帯広の菓子メーカー3社を訪ね、それぞれ経営者に成功の秘訣(●ひけつ)を取材。函館に来た外国人観光客にも函館スイーツの印象などをアンケートした。

 香港へは3月1~4日の日程で訪問。香港大学では、学生9人に函館、近隣の菓子メーカーなどが製造したチーズケーキやようかん、チョコレートなど9品を食べ比べてもらった。どの商品もおおむね「おいしい」との好評価で、当初の予想に反して和菓子類が意外と受けが良かったという。

 さらに道産商品を扱う卸会社と小売店の2社を訪問。道産商品に対する評価や魅力、海外で販路を広げるための課題などを経営者に聞き、言葉の違いや信用度の差が海外進出のハンデにならないと学んだ。

 調査を通じて、九州の業者との比較で物流の費用や時間がかかる点を課題として捉えた。香港では北海道ブランドは認知されているものの函館の知名度が低かったことも分かった。

 角田講師は「経営者の考えや現地の生の声を聞けたことは大きい」と成果を口にし、宮永優太郎さん(4年)は「これまでの調査を基に、どうすれば海外展開のチャンスが広がるのか考えていきたい」と話した。(鈴木 潤)



◎函館頭足類科学研究所にイカ研究の桜井さん

 スルメイカ研究の第一人者として知られ、3月末で北大を定年退職した桜井泰憲さん(65)=北大名誉教授=が1日、函館国際水産・海洋都市推進機構(石尾清広代表理事)が新設した「函館頭足類科学研究所」所長に就任した。市国際水産・海洋総合研究センターを拠点に、イカの研究を継続し「浜が元気になるようなお手伝いをしたい」と意気込んでいる。

 研究所は、機構の調査・研究部門の中に新たに設置され、桜井さんが所長(非常勤)を担うことになった。同センター内に事務所を構え、頭足類(イカ、タコ類)の生態・資源研究、高鮮度付加価値化や有効利用に関する研究を行う。

 大学教員は教育という大きな仕事があるため、研究に没頭できない現状があった。同センターは国内最大規模の大型実験水槽(300トン)を備え、研究に存分に打ち込める環境が整った。水槽を使い、北大の大学院生や学生と一緒にヤリイカ、スルメイカの飼育実験を行う予定で、産卵行動や光に対する反応などを調べる。

 桜井さんは「研究を続けられる場を提供してもらったことに感謝したい。成果を皆さんに還元したい」と強調する。講演会やシンポジウム、子ども向け講座も企画する考えで「市民や漁業者が気軽に相談に来られるような場をつくっていければ」と話している。

 桜井さんは、1950年岐阜県出身。73年に北大水産学部卒業、同大学院を経て83年から青森県営浅虫水族館(現あさむし水族館)に勤務。88年、北大水産学部助手となり、28年間勤務し、特任教授で退職した。

 問い合わせは同研究所(☎0138・21・4700)へ。(山崎大和)



◎市旅館業法施行条例の一部改正へ

 一般住宅や賃貸マンションの空き部屋などに観光客らを有料で泊める「民泊」が、1日から許可制の形で解禁されたのに合わせ、函館市も「市旅館業法施行条例」を一部改正する。現行の旅館業法の「簡易宿所」に位置付け、政令で定める構造設備基準を緩和することで、許可を取得しやすくなる。

 改正内容は一律に「33平方メートル以上」としていた簡易宿所の客室の延べ床面積の基準を、許可申請で宿泊者の数を10人未満とする場合には1人当たり、3・3平方メートルと緩和した。この基準改正は政令規定事項で、1日の施行とともに適応される。

 合わせて自治体が条例を策定する際の指標となる、国の「旅館業における衛生等管理要領」も一部改正。宿泊者の数を10人未満で申請した場合、宿泊者の本人確認ができる代替機能を有し、緊急時の対応体制が整備されていれば、フロントの設置を求めないこととなった。

 同要領の改正については市の条例改正が必要だが、経過措置として構造設備基準の適用除外規定を適用し1日から対応している。今後、函館と同じように独自の構造基準を設ける札幌市や旭川市、道とともに検討し、近くパブリックコメントを実施して条例改正する見通し。

 市立函館保健所によると、2014年度末時点の宿泊施設数はホテル67、旅館72、簡易宿所29で合計の定員が2万21人となっている。民泊の参入状況については、市への申請をせずに営業しているケースも考えられ「把握できていない」とするが、「定員10人未満の小規模な規制緩和のため、他の旅館業者には影響はないだろう」とみる。

 3月に同保健所宛てに民泊参入に関する相談が1件あったが、4月以降の新規参入に関する申請はまだ寄せられていないという。国は秋までにホームステイ型の民泊の届出制や、仲介業者に対する規制などを検討し、民泊全般に関わる法整備を行う予定だ。(蝦名達也)


◎戸井西部総合センター完成

 函館市戸井西部総合センター(小安町525)の開館記念式典が5日、同センターで開かれた。240人の収容が可能な集会ホール、研修室などを整備。貴重な考古資料の展示コーナーも設けた。災害時には避難所としての役割を担い、住民同士の交流や地域防災の新たな拠点となる。

 同センターは国道278号沿いで、津軽海峡を一望できる戸井運動広場内に建設。鉄骨造平屋約818平方メートル。総事業費は約4億円で主に過疎債を活用した。

 集会ホールは軽スポーツでの利用を想定し、衝撃を吸収する床材を使用。内壁には道南材を用いた。研修室、調理室、和室などを備える。屋外には太陽光パネルが設置され、建物全体の消費電力の1割程度を賄うことができるよう設計されている。

 エントランスホールには旧戸井郷土館に収蔵されていた、道の有形文化財「戸井の板碑」(室町時代)をはじめ、戸井貝塚(縄文時代後期)出土の「舟型土製品」(複製)やエゾシカの骨を使った人型の「角偶」(複製)などの考古資料約90点を展示している。

 式典には関係者約100人が出席。工藤寿樹市長が「末永く愛され、活用されることを願っている」とあいさつ。地域を代表し、戸井地区町会連合会の河江誠司会長は「地域コミュニティーや生涯学習の場、災害時の拠点として大きな意味を持つ」と完成を喜んだ。

 午前9時~午後9時、毎週月曜日休館。問い合わせは同館(☎0138・82・3537)へ。(今井正一)