2016年4月7日 (木) 掲載

◎わくわく新生活

 道南の多くの公立小・中学校で6日、入学式が開かれた。函館では小学校46校で1698人、中学校26校で1817人が期待を胸に、新生活の第一歩を踏み出した。

 このうち、大川、五稜、桐花の3校が統合して本年度誕生した函館五稜郭中学校(風間和夫校長)では、1年生187人が初めての式に臨んだ。風間校長は式辞で「586人が五稜郭中の最初の生徒。皆さんは2、3年生と手を取り合って新たな学校をつくっていく。素晴らしい学校、すてきな学校、最高の学校となるよう力を貸してほしい」と呼び掛けた。

 生徒会長の対馬楓菜さん(3年)が歓迎の言葉を述べ、生徒代表の岩崎日菜多さんは「一日も早く中学校生活に慣れ、この先も続く伝統を築き上げていけるよう頑張りたい」と誓った。

 校歌は、入退場の演奏を担った吹奏楽部の部員と教職員が初めて披露。作詞は函館出身の詩人原子修さんが、作曲は函館の作曲家佐々木茂さんが手掛け、歌詞には校訓の「英知」「誠心」が盛り込まれている。

 この日は渡島管内が小学校89校と中学校45校、桧山管内は入学者がいなかった小学校2校を除く20校、中学校12校で開かれた。渡島の残る中学校2校と桧山の中学校1校は7日に行う。(稲船優香)



◎ホテル拠点にまちおこし

 函館市椴法華地域の「ホテル恵風」(恵山岬町61)は1日から、椴法華振興開発(大津廣社長)に経営主体を移行して営業している。同社は昨年度までの第三セクター、市椴法華振興公社の解散に伴って昨年8月に設立。豊かな海の幸を使った料理や近隣の恵山での登山をPRしながら、ホテルを拠点とした「まちおこし」を目指す。

 恵風は1997年にオープン。客室は和室を中心とした29室で、うち客室露天風呂を備えた和洋室は3室。美容に効くという「炭酸水素塩泉」と殺菌効果のある「ナトリウム塩化物泉」の2種類の源泉が湧く浴場が人気だ。

 振興開発によるオープンに合わせ、新たな設備投資などは行わず、客への手厚いもてなしと、これまで以上に地元食材を使った食事の提供を第一にスタート。職員を10人減らしたが、厨房を中心に配置。現在近隣の漁協に出向いて旬の魚を使う準備を進めており、同ホテルホームページ上などでうたう「美味しいケープ」の名を広げようとまい進中だ。

 また、恵山への登山を目的とした宿泊客が例年多いことから、恵山を押し出したイベントの開催も視野に入れているという。小堤文郎支配人は「中でも日帰り温泉は地元の方々にとても愛されており、ホテルが生活の一部になっている」とし、「リピーターや、かつて来ていただいていたお客様にまた足を運んでもらえるように魅力を発信したい」と話す。

 5月の大型連休は例年満室状態だといい、経営を担い最初の繁忙期に備える。大津社長によると、シーズンや祝日時の宿泊料金の値上げは行わず、定期的にホテル経営の改善点などを話し合う委員会も立ち上げる予定で「椴法華地区の財産である恵風を守りながら、四季折々の魅力を生かした経営をしたい」と意気込んでいる。(蝦名達也)



◎道新幹線が緊急停止

 1日午後1時15分ごろ、青函トンネルを走行中だった新函館北斗発東京行きの北海道新幹線が緊急停止していたことが、6日までに分かった。落ちていた金属片がレールに触れて異常を感知し、赤信号に変わったのが主な原因とみられる。3月26日の開業後の北海道新幹線の緊急停止は初めてで、JR北海道は「すぐに安全確認して運転を再開することができたので問題はなかった」として公表していなかった。同社は安全策の徹底を図るとしている。

 JR北によると、緊急停止したのは、青函トンネル吉岡定点付近(福島町)を走行していた「はやぶさ22号」で、共用する在来線にいるはずのない車両の存在を示す反応があり、停止信号の受信で運転士が非常ブレーキをかけた。停止時間は1分ほどだったとしている。

 当時、車両はトンネル内での最高時速140キロで走行し、完全停止の制動距離は約800メートルだった。車両には乗客約350人が乗っており、このうち1人が首に違和感を訴えたという。この1人に同社は「病院に行くように薦めたが、その後どうなったのかは分からない。けがだったのかも分からない」とする。

 青函トンネルでは、新幹線の2本のレールの内側に在来線専用レールが1本敷かれており、運転再開後の点検でこのレールのすき間に楕円形の金属片(縦6センチ、横4・5センチ、厚さ0・2センチ)が落ちているのが見つかった。この金属片を通してレール間に電気が流れたことで、貨物列車が走行していると誤って認知し、赤信号になった可能性が高い。同社は金属片の詳細を外部で調査するとともに、出どころなどを調べて再発防止を急ぐ。

 緊急停止などの未公表について、同社は「停止信号は瞬間的なものですぐに青になり、停止後間もなく運転を再開して奥津軽いまべつ駅に2分遅れで到着した。20分以上の遅れや広範囲に及ぶ影響があった場合は公表するが、(今回は)問題はなかったので公表していないし、コメントもない」としている。(田中陽介)


◎新幹線⇔クルーズ 相乗効果で誘客期待

 函館港に寄港する豪華客船と北海道新幹線を組み合わせた、新たな旅行の動きが進んでいる。函館港から乗船できるクルーズや、寄港後に新幹線利用を組み込み、青森に渡るオプショナルツアーなど、さまざまな形で「レール&クルーズ」を展開。新幹線開業がクルーズ振興にも一役買っている。

 本年度の函館港には、延べ29隻のクルーズ船が寄港を予定。大半の客船が接岸する港町埠頭(ふとう)と新函館北斗駅の移動時間はバスで20分ほどと比較的アクセスが良く、新幹線開業の話題性もあって、さまざまな旅行商品造成につながったとみられる。

 今季1隻目となる「飛鳥II」(5万142トン)は今月14日に寄港。JTB九州などのチャータークルーズで、新幹線乗車のオプショナルツアーを設けた。函館で一度下船し、新幹線で青森市に渡り、八甲田山の雪の回廊などを見学し、同市内に宿泊。15日は陸路を移動し、岩手県大船渡市で再び乗船し、クルーズを続ける内容という。

 「ダイヤモンド・プリンセス」(11万6000トン)で国内発着クルーズを展開するプリンセス・クルーズなどは、神戸発着の「北海道周遊と知床クルージング・サハリン」(5月30日~6月10日)のうち、最初の寄港地となる函館港で乗船し、青森港で下船する6泊7日の商品を販売した。

 寄港地は室蘭、釧路、ロシア・コルサコフなどで、下船後は新幹線を利用する〝函館発着〟のプランだ。新青森からの新幹線料金も含み、1人8万9800円(内側客室)からで、1泊当たりの料金は、神戸発着よりも割安となっている。

 一方、クラブツーリズムが扱う「飛鳥II 夏の北海道チャータークルーズ」は、移動手段に客船と新幹線を組み合わせた商品。8月22日に横浜出港後、途中の寄港はなく同24日に函館に到着。下船後に市内観光を楽しみ、同日中に新幹線で東京に戻るコースは、「北海道新幹線開業の話題性もあって、バス5台分(約200人)の申し込みがあった。予定よりも販売が伸びた」(同社)とする。

 このほかにも、函館を起点に道内を周遊し、新幹線を利用して東京に向かうコースなどもある。同社は「短期クルーズは客船が初めてのお客様にもお薦めで、昨年は飛鳥IIと北陸新幹線との組み合わせが人気だった。同じ航路を船で戻るより、別の交通手段にも需要がある。今後も客船のチャーターが可能なら同様の商品を展開したい」としている。

 函館港を発着港と見なす動きや新幹線との相乗効果が生まれていることについて、市港湾空港振興課は「新幹線開業でクルーズ商品のバリエーションが増えている。市民や新幹線で訪れる観光客が函館港から乗船できる函館発着のケースを増やし、寄港回数増加につなげたい」としている。(今井正一)