2016年5月1日 (日) 掲載

◎春の夜 サクラに酔う

 春の大型連休2日目の4月30日、函館市内のサクラの名所は観光客で終日にぎわった。肌寒さは残るものの、雨だった29日から天気は持ち直し、恒例の「花見電飾」には多くの市民や観光客が訪れた。

 函館公園(青柳町)では、約400個のちょうちんがサクラを幻想的に彩る。園内に高低差がある分、さまざまな視点で花見が満喫でき、カメラを片手に散策する人の姿がみられた。おでんやたこ焼きなどの露店も人気を集めていた。

 室蘭市の会社員佐々木遥紀さん(22)とアルバイト伊藤沙由さん(21)は「函館には初めて訪れたが、どこもサクラがきれいで感動した。また来たい」と笑みを浮かべていた。

 ライトアップは函館公園と五稜郭公園(五稜郭町)で10日まで。午後7時に点灯し、平日は同9時、土・日・祝日は同10時まで楽しめる。(稲船優香)



柏稜高、桜が丘通に「お休み処」

 函大付属柏稜高校商業科の生徒が4月30日、同校に面したサクラの名所「桜が丘通」に「お休み処」を設け、花見客をもてなした。時折冷たい風が吹く中、生徒たちは温かいお茶やあめを配って全国の観光客と交流した。

 3年生の授業「課題研究」の一環で、企業との共同開発などに取り組む「商品開発チーム」がおととしから実施。この日は3年生10人に加え、2年生4人と保護者が手伝った。

 生徒は道行く人に「ゆっくり休んでいってください」と声を掛け、桜湯や温かい緑茶、商業科の活動や桜が丘通について記したチラシなどを配った。サクラを背景に写真を撮り、その場で印刷するサービスも好評。2時間で115人が訪れた。

 茨城県つくば市の芦澤一英さん(59)と妻のみゆきさん(58)は「学校が休みなのに、頑張っていて素晴らしい。良い時間を過ごせた」と笑顔。手作りの甲冑(かっちゅう)を着て徒歩で全国の城を巡っている山辺剣さん(41)=兵庫県=も、生徒と共に写真に収まっていた。

 持丸智美さん(3年)は「寒さで客足が心配だったが、呼び掛けでたくさんの人が立ち寄ってくれた」とにっこり。西村愛美(あみ)さん(2年)は「今後も続け、サクラを見ながら楽しく会話できる場所にしたい」と話していた。(稲船優香)



◎川道社長 遺体搬送の後方支援

 今月中旬に発生した熊本地震を受けて、亀田葬儀社(函館市桔梗3)の川道一司社長(50)は、全国霊柩自動車協会(東京)が設置する災害対策中央本部(同)の一員として、被災地での緊急遺体搬送の支援業務に当たっている。

 川道社長は1993年の南西沖地震や2011年の東日本大震災で、身元が判明した遺体を、霊柩車で火葬場へ搬送する活動を体験した。現在、協会の災害対策委員長を務め、災害対策本部の設置マニュアル策定にも携わった。

 今回、4月14日夜の地震発生後に協会は同本部設置を決定。川道社長も召集命令を受け、翌日の15日早朝には新幹線に乗って東京に設置した本部に向かった。

 本部では熊本の現地本部からの被害状況などの情報収集や遺体の安置・搬送の支援に向けた連絡調整を行いながら、現地へ出動する準備も整えていた。

 16日未明に再び大きな揺れが発生。その後、余震は断続的に続いているが、今のところ現地からの出動要請は受けていない。

 川道社長は20日に一度、函館に戻ったが、今後定期的に本部に通い、任務に当たる。

 5年前の大震災では遺体搬送活動という実働部隊として支援に携わり、今回は主に後方支援に当たる。「直接被災地で活動できずジレンマを感じたが、今は状況を見極めながら事に当たっていく」と話している。(鈴木 潤)


◎一人親家庭「学び直し」支援 函館市の事業スタート

 函館市は4月から、一人親家庭の親と子が高校卒業の資格を得られるよう支援する「ひとり親家庭高卒認定試験合格支援事業」を実施している。より良い条件での就職や資格取得などに向けた「学び直し」をサポートする。試験合格のために講座を受講した際、受講費用の一部を補助するもので、市は就労支援の充実に向け、多くの活用を呼び掛けている。

 同事業は国が自治体に実施を求めており、多くが4月に開始。経済的に苦しい一人親家庭の自立に向け、同事業によって正規雇用を中心とした就業につなげるのが狙い。

 国が年2回実施する高校卒業程度認定試験(旧大検)を受けるための講座受講費への補助を行う。講座修了時に受講費用の2割、試験合格時に同4割の合計6割、15万円を上限に給付金を支給。年齢制限はなく、高校中退の子どもも対象。  市子育て支援課によると、民間事業者が行う講座受講費の相場は35万円ほどだといい、修了時に7万円、合格時に8万円を上限に補助されることになる。通信講座も対象で、受講前に市に給付金の申請を行う。

 国の全国母子世帯等調査(2011年度)によると、最終学歴が中学卒の一人親世帯の親の割合は約13・8%。市内の一人親世帯は現在約4500世帯で、少なくとも621世帯が対象となる見込み。一方で、先行して実施した苫小牧市での利用実績は昨年度ゼロで、「非正規や中卒可のパート職を選ぶ人が多く考えられる」(同課)とみる。

 ただ、近年子どもの貧困化などが問題視されている中、同事業を経て高卒資格を有することで、より給料の良い会社への就職、看護師や保育士などの資格取得に向けた進学も可能となる。同課は「市では国家資格取得の修業支援も行っている。この事業を働くための第一歩として浸透させ、一人親世帯の自立を支援していきたい」としている。(蝦名達也)