2016年5月10日 (火) 掲載

◎新幹線効果 GW盛況

 今年の函館・道南の大型連休は、道内外から訪れた多くの観光客でにぎわった。北海道新幹線開業後最初の大型連休を迎えた観光施設や行楽地は東北や関東圏からの来場が伸び、開業効果を実感する声も。サクラの開花が例年より早めで開花時期も長かったことから、各地の花見スポットは客足を伸ばした。

 五稜郭タワーは、4月29日―5月8日の展望台来場者数が6万8369人と前年同期比34%増。東北からの来場が前年比3・2倍の9559人、関東圏も1万8856人と8割程度増えた。函館山ロープウェイの利用者数は7万9995人(29日~8日)と昨年同期比410人増だが、29日は強風でロープウエーを終日運休。30日と3日には、一日に1万3000人以上の利用があった。金森赤レンガ倉庫群を運営する金森商船は「ブロック玩具で遊べる『ブリックラボ』を楽しみに、東北方面からの来場が前年よりも増えた」と開業効果とみる。

 JR函館駅内の市観光案内所には期間中(4月29日~8日)に7120人が利用した。コンコース内の臨時案内ブースも2393人が訪れ、昨年同期比(6871人)から38%増だった。元町公園内の観光案内所も前年比33・7%増の3428人だった。市観光部観光企画課は「開業で今まで以上に東北や北関東、首都圏から観光客に来ていただいたと考える」としている。

 大沼で遊覧船を運航する大沼合同遊船(小泉真社長)は、昨年同期比2割減の利用者数だったが、小泉社長は「新幹線を利用して宮城県や秋田県から来た個人、団体客が増え、開業効果を実感する場面もあった」と話す。桜回廊などを行う北斗市観光協会も「本州からの団体客が目立ったほか、『法亀寺のしだれ桜を見たい』という個人客が観光案内所に殺到した」とする。

 函館地方気象台によると、サクラは4月24日に開花し、同26日に満開を観測。サクラのスポットも客足を伸ばし、五稜郭公園管理事務所によると、同公園の来場者数(24日~8日)は約37万人(速報値)で、昨年よりも上回る状況。29日以降、平日の6日を除きコンスタントに2万人以上が来場した。函館公園(青柳町)は5万6500人(23日~8日、速報値)。「松前さくらまつり」を開催中の松前町は29日~8日の観光客数を10万3000人(昨年同期比15・3%増)と発表。町は新幹線利用した観光客の来場が増加の一因とみる。

 道警函館方面本部交通課によると、道南と道央圏を結ぶ国道5号の渋滞は3日がピークとなり、午後3時半ごろ、森町姫川―同赤井川間の函館方面に向かう上りで最大10キロ、下りは午前11時10分ごろに、七飯町峠下―西大沼間で7キロの渋滞が起きた。昨年は目立った渋滞がなく、同課は開業による影響とみている。(鈴木 潤、今井正一、野口謙清、山崎大和、斎藤彩伽)



◎新幹線利用 在来線の2・2倍

 JR北海道と航空各社はは9日、大型連休期間(4月28日~5月8日)の利用実績をまとめた。北海道新幹線の利用客数は、前年同期の在来線特急(夜行列車除く)と比べて2・2倍に増加。一方で、競合する函館―羽田線も前年並みを維持し、同路線を運航する航空3社は「大きな影響はなかった」としている。

 新幹線の利用者は10万7600人。平均乗車率は44%で、乗車率が最も高かったのは3日の「はやぶさ1号」で107%だった。JR北海道は「大変多くの方々に利用いただいたと受け止めている」とする。函館―札幌間の特急(スーパー北斗など)の利用者は、前年同期比2・4%増の7万4100人だった。

 一方、函館―羽田線は、日本航空(JAL)が同1・1%減の1万4489人、全日空(ANA)は同7・4%増の2万610人。機材繰りで提供席数が前年同期と比べて26%減少したAIRDO(エアドゥ)は、同9・5%減の6678人だった。

 日本航空函館支店は「新幹線と飛行機を組み合わせた旅行商品などで需要喚起を図り、搭乗率は85%と高い数字を維持できた」、全日空北海道支社は「新幹線との相乗効果があった」とする。

 このほか、伊丹線は日本航空が同11・3%増の1400人、全日空が同31・7%増の3058人、北海道エアシステム(HAC)の函館―丘珠線は同17・7%減の1421人だった。(山田大輔)



◎大谷選手が新幹線PR JR函館駅に巨大広告

 JR北海道函館支社は9日、JR函館駅正面のガラス面に、プロ野球北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手をあしらった北海道新幹線PR広告を掲示した。縦2・91メートル、横7メートルの大きさで、駅利用者らの注目を集めている。  JR北は3月、北海道新幹線のイメージキャラクターとして大谷選手を起用。同社は「持ち味のスピードと、北海道の球団で活躍する岩手県出身の大谷選手は、道内と東北を高速で結ぶ新幹線のイメージに重なる」とした。

 1月に貼った3月26日の開業日をPRするGLAYラッピングを更新。北海道新幹線H5系車両や大谷選手の写真とともに、「海の向こうへ、ストレート。ようこそ、北海道へ。」の文字を盛り込んだ。

 貼り出されたばかりの巨大広告をカメラに収めていた札幌市の日本ハムファン、澤谷勇治さん(64)は「大谷選手は新幹線のイメージにぴったり。どっちにも頑張ってもらいたいね」と話していた。(金子真人)


◎奥凱航空、西安線の就航延期

 函館市は9日、中国の奥凱航空(本社・北京市)が15日に予定していた函館と西安を結ぶ国際定期路線の就航が延期になったと発表した。運航開始時期は未定。同社の日本代表事務所(インターアビエーション・ジャパン)は理由について「中国の本社の決定によるもの」としている。

 計画では、ボーイングB737-800(180人乗り)を使用し、毎週水、金、日曜日の週3往復を運航。同社の道内への乗り入れと函館と中国内陸部を結ぶ初めての路線となる。1月に同社関係者らが市役所を訪れて、就航計画を進めていることを明らかにし、3月には国土交通省の認可を前提に今月15日に就航すると発表していた。

 同事務所は「7月上旬の就航を目指して準備は続けていく」としている。市港湾空港部は「なるべく早く就航することを期待している」とした。

 中国と函館を結ぶ路線は中国国際航空の北京線が運航停止となり、中国東方航空の杭州線が21日から運休となる予定で、当面は天津航空の天津線のみとなる。計画中の路線では、奥凱航空のほか、北京首都航空による杭州と函館、青森両空港を結ぶ路線がある。(今井正一)