2016年5月12日 (木) 掲載

◎市民会館大規模改修へ

 函館市教育委員会は11日、昨年度実施した市民会館(湯川町)の耐震改修調査の結果をまとめた。ホール棟(大ホール)は建物外周からの補強や舞台開口部の柱の補強など、大規模な工事実施が必要となり、来年度以降、長期間の閉鎖は避けられない見通しだ。工事費は概算で老朽化した舞台関連装置や電気・機械設備関連の改修を合わせて、約32億円となった。6月の市議会に提出予定の予算案に実施設計費を計上する。

 市民会館は1970年の完成。鉄筋コンクリート造3階建て延べ3181平方メートルのホール棟、鉄筋コンクリート造一部鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階、地上3階建て延べ4096平方メートルの管理棟と中央棟からなる。2014年度に実施した耐震診断で建物全体の耐震性を示すIS値(耐震指標値)が判定指標値を下回った。

 今回の調査では、耐震改修方法の案と設備関連の課題をまとめた。ホール棟は建物の外側から鉄筋コンクリート造の柱やはりの骨組みで補強。客席では、中2階部分の真下に当たる1階ロビーの補強などを行うほか、現行の建築基準に適合させるために天井の軽量化を図る。

 このほかにも一部傾斜沈下した客席床の改修、アスベストが含有した非飛散性の天井吹き付け材の除去も行う。電気関連や空調関連など各棟の設備も経年劣化が判明し、大ホールでは、照明器具などを取り付ける舞台装置なども安全性の高いものに切り替える必要があるとしている。

 概算工事費は舞台装置を含む建築主体工事で19億1900万円、電気設備関連で8億1500万円、機械設備関連で5億2100万円の計32億5500万円。市教委生涯学習部生涯学習文化課は「6月の補正予算で実施設計費を要求し、実施設計の中で必要な工事内容を整理する。早期に改修したい」とした。(今井正一)



◎ベトナムの小学校に新校舎建設、アサヒ商会が支援金

 全国で給油所を運営するアサヒ商会(函館市東山町、斉藤巌社長)は、NPO法人アジア教育友好協会(東京)に支援金を寄付し、ベトナム南部の公立小学校の新校舎建設を進めている。4月初旬に着工、9月5日に開校式を予定している。

建設を進めているのは、ベトナム最大の経済都市ホーチミンから200キロほど南にあるチャビン省カウケ郡のフォンフー小学校。住民の多くは少数民族のクメール族で、平均月収15ドルほどの貧困地域という。

現在同校には1~5年生168人が通っているが、教室は3室しかないため、午前と午後に授業を分けたり、2学年で半分ずつ使用したりするなど不便が多い。また、1993年に建てられた校舎はひび割れが目立ち、雨季の時期は土砂の流出や倒壊の恐れがあるため休校となる。

フィリピンとバングラディシュに給油所を展開している同社は地域貢献として、東南アジアに200校以上の学校を建設している同NPOを通じ、同校に鉄筋コンクリート平屋約500平方メートルの校舎建設を計画。新たに3教室を設け、子どもたちの教育環境を整備する。このほか、机、いす、黒板などの備品提供、学校運営に関わる支援も行う。

斉藤社長は「今後、本格的に海外事業を展開するにあたり、まずは現地のためになることを考えた」と支援の理由を語り、「校舎が危険なため学校に通わせない家庭も多いと聞く。子どもたちが安全な教室で十分な教育が受けられるよう、これからも支援を継続していきたい」としている。(金子真人)



◎さきいかチョコいかが、14日蔦屋書店で試食品配布

 地域資源を活用した土産品開発に取り組む「はこだて雇用創造推進協議会」は14日午前11時から、函館蔦屋書店(石川町)で「函館さきいかチョコレート」の試食プロモーションを実施する。イカの街を代表する珍味をチョコでコーティングしたもので、風変わりな食感と味に仕上げた。味の異なる3種のサンプル計300食分を配布する。

 同協議会は市や渡島総合振興局、函館商工会議所などで構成。昨年7月にスタートした厚生労働省の委託事業「実践型地域雇用創造事業」で、土産品開発に着手。試作には、老舗ベーカリーの「キングベーク」(亀田本町)と珍味製造の「山一食品」(港町1)の2社が協力した。

 試作段階では、味や食感の異なるさきいかを試しながら、最終的に函館を代表する皮付きさきいか「函館こがね」に決めた。チョコのコーティング方法や味、食感のバランスなども試行錯誤を重ね、最終品として「セサミ(ごま)」と「キャラメル」、さくさくした食感が楽しめる「フレーク」の3種類が完成した。

 3月26~29日には市内と東京都内の市のアンテナショップが入るローソン京橋駅前店でそれぞれ2日間ずつ、試食品を配布して意見を聞いた。計195人、381サンプル分の調査では味や土産品としての購買意欲などで、好評価を得た。組み合わせにギャップがあるため、「分けて味わったほうがいい」とする意見もあった一方で、若い世代ほど、新しい味に面白みを感じた結果となった。

 事務局(市労働課)は製品化した場合、30グラム入りで400~500円程度での販売を想定する。今月下旬には公開セミナーを開き、事業経過を報告。「函館さきいかチョコレート」の統一名で土産品として、市内の事業者に製造、販売を呼び掛ける方針。

 14日の試食品配布はなくなり次第終了。(今井正一)


◎記念の試合 函館で ラグビーチームマルハニチロ 創設90周年

 函館ラグビーにおいて先駆的な役割を果たした日魯漁業(現マルハニチロ)のラグビーチームが今年、創設90周年を迎えた。6月4日に函館根崎ラグビー場で、同チームOBと函館ひやみず倶楽部との記念試合が開催される。

函館でラグビーが始まったのは1926(大正15)年。当時の日魯漁業函館支社長の故広瀬理喜男氏が社員に熱心に呼び掛け、日魯漁業ラグビー部が誕生した。ほぼ同時期に函館ラグビー協会が設立され、翌年に谷地頭の野球場で日魯と協会チームによる函館初のラグビーの試合が行われている。昭和に入ると日魯ラグビー部は北大を倒して全道制覇するなど、日本屈指の実業団チームとなった。

47年には日魯ラグビー部の故伊予田良一氏がコーチを務め、日魯社員の兄弟や子息が多く所属した函館市中(現・市立函館高校)ラグビー部が、国体と全国中学校ラグビー選手権の両方で優勝し全国制覇を達成するなど、函館ラグビーの黄金期の礎ともなった。

戦時中に選手や指導者らが応召されたことで函館での活動は沈滞し、ラグビーチームも本社のある東京に移転したが、現在の曙光クラブ(元マルハニチロラグビー部)に至るまで、伝統のラグビーチームとしての歴史は途絶えることなく受け継がれている。

記念試合はマルハニチロラグビー部のOBから「90周年の記念試合を、部が誕生した函館で開催したい」と函館のラグビー関係者に打診があり、地元側もこれを快諾した。当日は午後2時にキックオフする。マルハニチロラグビー部のOBらは約40人が来函する予定で、試合後には懇親会も行われる。

函館市ラグビーフットボール協会の日向稔会長は「日魯ラグビー部がなければ函館ラグビーはない」とし、「同年に誕生した協会も90周年という記念の年。こうしてチームのルーツである函館に、試合をしに来てくれることを大変うれしく思う」と話し、歓迎している。(大谷健人)