2010年4月7日 (水) 掲載

◎佐々木明選手に市民栄誉賞

 【北斗】北斗市は6日、3大会連続で冬季五輪に出場した同市出身のアルペンスキーヤー、佐々木明選手(28)=エムシ=に市民栄誉賞を授与した。市公民館で高谷寿峰市長から表彰状と記念品を受け取った佐々木選手は「みんなに見られながら栄誉賞をもらえるのはうれしい」と喜んだ。市民栄誉賞は昨年8月に全日本中学校陸上大会女子800メートルで日本記録を更新した岡田芽さん(上磯高1年)に続いて2人目。

 授与式には後援会員をはじめ約200人が出席。高谷市長が「栄誉賞は私たちにとっても喜び。まだまだ若くて、体力、気力がみなぎっている。精進を重ねて4年後のソチ五輪では金メダルを目指してほしい」と祝福した。

 佐々木選手は旧大野町で生まれ、スキーの指導員だった母満智子さん(61)など、家族の影響で3歳ごろにスキーを始めた。冬場は毎日のように七飯町のニヤマ高原スキー場に通い、才能をみせていたという。小、中学と全国トップクラスの大会で活躍。高校は北照高校(小樽)、大学は日体大に進学。03年のワールドカップ回転ウェンゲン大会では日本人2人目の2位入賞を果たし、その後も2度表彰台に上がるなど、日本のアルペンスキー界を引っ張ってきた。

 2月のバンクーバー五輪男子回転では多くの期待を背に出場し、悪天候の中で過去最高の18位。見事“3度目の正直”で完走を成し遂げた。佐々木選手は「結果には満足していないが、100%やることはやった。すぐにソチに切り替えられたので金メダルを取る」と力強く宣言した。父悦郎さん(61)も「本人が栄誉賞を受けることができてすごくありがたい。皆さまに感謝したい」と笑顔だった。(小林省悟)



◎「キタカ」電子マネー函館でも利用OK

 JR北海道のIC(集積回路)乗車券「Kitaca(キタカ)」の電子マネー機能を利用できる店舗が20日から、JR函館駅構内の売店や自動販売機などに拡大し、コンビニエンスストア大手のローソン(東京)の道内全店舗にも導入されることが決まった。道南では乗車券として利用できないが、道央圏や本州客を中心に駅などでの利便性が高まりそうだ。

 キタカは改札機の読み取り部にかざすと運賃が課金され、通過できる乗車券。2万円を上限に入金して運賃や買い物の支払いなどに繰り返し使える。昨年3月から首都圏で普及するJR東日本の「Suica(スイカ)」とも相互利用でき、市場規模は拡大している。

 道南でキタカの電子マネー機能が新たに利用できるのは、渡島・桧山管内のローソン約60店のほか、函館駅構内の売店や飲食店など7店舗と駅内・周辺の飲料自販機16台。ローソンでは決済とカードへの入金(チャージ)もできるが、駅周辺ではで決済のみ可能になる。

 JR北海道によると、3月末時点でのキタカの発行枚数は約23万5000枚。現在、電子マネーが利用できるのは道央圏を中心に道内約780カ所あり、4月20日には約1500カ所に拡大する。3月の利用件数(スイカ利用を含む)は一日当たり約3400件に上るという。

 キタカの利用対象エリアの拡大は2008年10月の登場以来、道央圏やローソンの店舗を除けば函館地区が初めて。同社は「函館は本州からの来道するお客さまが多く、スイカユーザーからサービス導入の要望が多かった。春の観光シーズンや12月の東北新幹線新青森駅開業を前に新たな需要を取り込みたい」とPRする。

 一方、道南ではキタカのカード自体を販売していない。乗車券としての利用についても「今のところ予定はない」(同社広報)といい、サービスを受けられる利用者は今のところ限定的だ。キタカを入手するには道央圏41の有人駅やクレジットカード機能付きの申込者などに限られる。問い合わせはJR北海道開発事業本部TEL011・700・5767。(森健太郎)



◎「海炭市叙景」文庫化決定

 函館出身の作家、佐藤泰志の遺作「海炭市叙景」が文庫化されることが、6日までに決まった。大手出版社の小学館(東京)が10月6日に全国出版する。映画化を機に原作に再び注目が集まり、関係者は喜んでいる。

 文庫化は3月中旬、同社社員の村井康司さん(52)=函館出身=がインターネットの短文投稿サイト「ツイッター」で要望を知ったのがきっかけ。村井さんは佐藤泰志と同じ中学を卒業した後輩に当たり、「小説を同時期に読み、気になる作家だった。映画化を知って喜んでいた」という。

 社内で提案したところ、小説の良さと作品の認知度が高まる映画化の動きが決め手となり、文庫での出版がすぐに決まった。村井さんは「不景気な時代のリアルな空気感が描かれ、むしろ今の地方都市や首都圏で読まれるべきすばらしい作品だと個人的にも思う」と太鼓判を押す。

 「海炭市叙景」は1991年に集英社から単行本が出版されているが現在は絶版。2007年にクレインから出版された作品集でのみ読むことができた。映画は11月に全国公開の予定。

 佐藤泰志と西高同期で、長年小説を残す活動を続けてきた西堀滋樹さん(60)は「映画化の目的が達成できとても喜んでいる。先の見えない今の時代だからこそ読んでほしい」と話す。佐藤泰志の妻、喜美子さん(58)=静岡在住=も「全国の書店に置いてもらえるのでロングセラーになれば」と喜んでいる。(新目七恵)


◎春の観光案内は任せて 函館タクシーの乗務員が研修会

 本格的な観光シーズンを間近に控え、函館タクシー(函館市日乃出町、岩塚晃一社長)は6日、乗務員を対象にした「春の観光研修会」を開いた。7日まで2日間の日程で全乗務員約220人が市内の観光名所をバスで巡り、利用客を案内するための知識を深める。

 同社は10年以上前から春の大型連休前のこの時期に観光施設を見学する研修を毎年行っている。この日は約140人の乗務員が自社の観光バス3台に分乗し、「函館競馬場」や「北海道坂本龍馬記念館」など市内の新施設を中心に半日で5カ所を回った。

 昨年11月にオープンした龍馬記念館では、三輪貞治館長が龍馬と道内のかかわりや貴重な展示品を紹介。菓子製造販売の六花亭(帯広市)の包装紙に坂本家の子孫が描いたデザインが採用されていることを挙げ、「龍馬のおいの孫の絵と案内してください」と丁寧にアドバイスしていた。

 乗務員は各施設の担当者から説明を受け、配布された資料などに熱心に目を通していた。乗務員歴38年の穴倉幸一さん(59)は「実際に見て回って初めて知ることも多かった。観光客に喜んでもらえるサービスを提供し、リピーターを増やしたい」と思いを新たにしていた。

 同社は「不景気で利用客が落ち込み、競争が激しい業界では乗客サービスの向上は急務。ソフト面で差別化して選ばれるタクシーを目指したい」とし、三輪館長も「施設側もタクシーとの連携は不可欠。連携しながら函館観光を一緒に盛り上げたい」と話していた。(森健太郎)


◎市民の安全確保に全力を…東消防署小安出張所・落成式

 4月から業務を開始した函館市東消防署小安出張所(函館市小安町525、吉田敬一郎所長)の落成式が6日、同出張所で行われた。西尾正範市長や吉田崇仁市議会議長、向平博吉消防長ら約100人が参列し、地域の防災、救急の拠点の完成を祝った。

 同出張所は、戸井と古川出張所を統合して開設。戸井地区を中心に17町を管轄し、汐泊川以西で古川出張所が管轄していた12町は東消防署がカバーする。建物は鉄筋コンクリート造り2階建てで、延べ床面積は760平方メートル。水槽式消防ポンプ車と高規格救急車を各1台配備し、職員20人を配置している。このほか、車庫内にはホースの洗浄、乾燥設備、排気ガスを排出する設備などを備えている。

 式典で西尾市長は「小安出張所は地域防災の拠点。市民の安全、安心の街づくりのため、消防力の充実、強化に取り組む必要がある」とあいさつ。吉田議長は「函館は幾度となく大火に襲われた。市民の尊い命や財産を守るため、不屈の精神と不断の努力で市民の負託に応えてほしい」とエールを送った。

 このほか式典では、このほど総務省消防庁長官表彰を受けた函館市戸井消防団に表彰旗が伝達された。(今井正一)